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キャリア教育

【簡単に分かる】キャリア教育とは?進路指導との違いや重要性を解説!

最近キャリア教育という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。
「キャリア教育とは、どんな教育のことを言うんだろう?」
「キャリア教育とは、進路指導のこと?」
仕事に関する教育ということは理解できるものの、実際の内容はよく分からないと感じている方は多くいます。
そこで、今回はキャリア教育とは一体どんな教育を示すのか、進路指導との違いや重要性について解説します。
最後には、キャリア教育を行う方法について、具体例とともにご紹介していきます。
子どもたちの未来に関わるキャリア教育を正しく理解し、最適な学びを提供しましょう。

キャリア教育とは

キャリア教育は、文部科学省内に設置されている中央教育審議会の答申で以下のように定義されています。
“一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育”

参考:今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について

キャリア教育は、決まった教科や時間があるのではなく、様々な教育活動を通して実践されるものです。
具体的に求められている力や、小中高の学校が目標としている姿は、子供の成長段階によって異なっています。
詳しく見ていきましょう。

キャリア教育に求められる4つの力

文部科学省は平成23年1月の「今後の学校におけるキャリア教育・職業教育の在り方について(答申)」においてキャリア教育では、以下の4つの能力を獲得するため、学校ごとに目標を定めて取り組むよう提示しました。

  • 人間関係形成・社会形成能力
  • 自己理解・自己管理能力
  • 課題対応能力
  • キャリアプランニング能力

この4つの能力は、それぞれが独立したものではなく、相互に関連したり、依存したりする関係です。
特に順序は無く、全ての人が同じくらい身に付けるべきだというものでもありません。

小学校段階でのキャリア教育の目標

小学校は、「進路の探索・選択にかかる基盤形成の時期」とされ、以下の目標が定められています。

  • 自己及び他者への積極的関心の形成・発展
  • 身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上
  • 夢や希望、憧れる自己イメージの獲得
  • 勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の形成

中学校段階でのキャリア教育の目標

中学校は、「現実的探索と暫定的選択の時期」とされ、以下の目標が定められています。

  • 肯定的自己理解と自己有用感の獲得
  • 興味・関心に基づく勤労観・職業観の形成
  • 進路計画の立案と暫定的選択
  • 生き方や進路に関する現実的探索

高校でのキャリア教育の目標

高校生は、「現実的探索・試行と社会的移行準備の時期」とされ、以下の目標が定められています。

  • 自己理解の深化と自己受容
  • 選択基準としての勤労観・職業観の確立
  • 将来設計の立案と社会的移行の準備
  • 進路の現実吟味と試行的参加

キャリア教育と進路指導の違いとは

キャリア教育が推進され始めたのは最近のため、従来行われてきた「進路指導」との違いが見えづらい方もいるかもしれません。
キャリア教育と進路指導の違いは、対象としている学齢期にあります。
ここでは、その学齢期について説明します。

進路指導の対象は中高生

進路指導は、学習指導要領の定めにより、中学校と高校(中等教育学校、特別支援学校中学部・高等部を含む)に限定された教育活動です。
本来、進路指導は入学から卒業後の追指導まで含めた計画的・組織的な教育活動です。
生徒個人が自分の能力や適性について考えたり、いろいろな選択肢を知ったりする機会になります。
しかし、卒業が見えてきた時期に高校入試や大学入試、就職に向けた指導や援助を行うイメージが強く、進路指導が世間では「出口指導」と批判されることもありました。

進路指導の理念やねらいは、キャリア教育とほぼ同じですが、言葉が社会に広く知れわたっていることによって本来の意味を超えて、

「合格・就職させるための指導」という誤った役割も背負っている現状があります。

キャリア教育の対象は就学前から始まる

一方、キャリア教育は、幼児期の教育や義務教育から段階的に取り組んでいくことが必要とされています。
また学校生活を終えて、社会への移行に困難を抱える若者(ニート)に対してもキャリア教育は実践されています。
キャリア教育は、幼稚園・保育園という幼い時期から長期間にわたって体系的な取り組みが求められているのです。
進路指導と対象期が重なる中学・高校では、似たような学習活動になりがちであるため、混同しないように注意が必要です。

参考:キャリア教育と進路指導

キャリア教育の重要性とは

20世紀後半の情報化・グローバル化は、社会環境だけでなく、子どもたちの生活や意識にも大きな変革をもたらしました。
子どもたちは、身体的には早熟になりましたが、内面では人間関係を上手に築くことができなかったり、自分で意思決定できなかったりと課題を抱えるようになりました。
また、自己肯定感も将来への希望もない子どもたちが増えたことで、職業について考えたり選択したりすることを先送りにしたまま進学・就職をするようになってしまいました。
一方で、企業は情報化によって簡単な仕事は機械がするようになり、新入社員は入社してすぐに高度な仕事を任されるようになりました。
社会人としての意識や基本的な資質の欠けた若者が社会に放り出されてしまうことは、日本社会にとっての課題として取り上げられ、対策を講じるようになりました。
この解決策として、キャリア教育は重要な柱として位置づけられています。

キャリア教育の推進は、以下の3点を可能にすることから重要視されています。

学校としての方向性を確認・共有できる

先述の通り、キャリア教育は幼児期、小学校、中学校、高校の子どもの発達に応じて、体系的に行われます。
各学年でキャリア教育の細かい目標を作ることで、学校全体でどのように成長させていきたいのかを確認することができます。
またキャリア教育を通して、目指す児童生徒像を職員間で共有することができるのです。

社会で自立していくための課題を見つけられる

進学や就職のような人生を左右する大きな進路の分かれ道では、多くの子どもたちが課題に直面します。
個々の課題の達成のためには、自立したものの見方や考え方が必要不可欠です。
キャリア教育によって、子供達は自分自信で課題に気づき、自分にとって望ましい在り方を見つけることができます。

児童生徒の自己肯定感や学習意欲を高められる

自分の生き方に不安をもち、自分を見失ってしまう児童生徒は少なくありません。
全国高等学校PTA連合会と株式会社リクルートによる合同調査では、高校生の約半数が進路を考えるときの気持ちとして「自分がどうなってしまうのか不安になる」と回答しています。
不安の要素が強くなる傾向は、職業を意識した時期が遅い人ほど顕著に現れています。
キャリア教育によって、早い時期から職業を意識し、職業と実生活とのつながりを感じることで、自己肯定感や学習意欲を高めることができます。

参考:「キャリア発達にかかわる諸能力(例)」(4領域8能力)の開発過程について

子どもたちに合ったキャリア教育を簡単に行う方法

未就学児から体系的に進めることが求められているキャリア教育ですが、ねらいを定めて、計画を立てるのには時間を要します。
ここでは、簡単に子供たちに合ったキャリア教育ができる実践例をご紹介します。

企業やプロフェッショナルを招く

企業による出前授業を依頼し、社員を講師として招きます。
子どもにとって家庭や地域、学校など、普段の生活では関わらない人の話を聞けることは大きな刺激となり、勤労観や職業観を考えるきっかけにもなります。
出前授業で講師から教えてもらう内容を子どもたちの関心事に設定することで、調べ学習がはかどったり、内容を深めたりすることができます。

教材提供を活用する

コロナ禍によって 、浸透してきたキャリア教育の形です。
本来は、企業が足を運ぶことのできない地域の子どもたちにも、多くの学びを届けたいなどという思いから教材提供がされてきました。

社会貢献活動の一環で、学校に向けて学習教材や授業パッケージを提供している企業があり、その中にはキャリア教育に役立つ授業もあります。
教材提供は、企業が制作したパッケージに沿って、教員が授業を進行します。動画や音声素材、指導案などパッケージ内容はさまざまですが、学校側は簡単に準備ができるほか、複数回にわたっての学習にアレンジすることも可能です。

企業にとっては、出前授業とは異なり社員の派遣がいらないため、

人件費や交通費を抑えながら、多くの学校・子どもにプログラムを提供することができます。

職業体験施設を訪問する

校外学習や社会科見学は、学年によって特定の行き先があるわけではありません。
担当学年の学習内容や興味に合わせて、教員が決定します。
職業体験施設を訪れることは、子どもが今後の生き方や進路について考えるきっかけになるというメリットがあります。
職場体験を通じてキャリア・パスを描けそうな学年集団であれば、キャリア教育の一貫として職業体験施設の訪問を検討してみるのもいかがでしょうか。

まとめ

今回は、キャリア教育についての概要や進路指導との違いについてお伝えしてきました。子どもたちに4つの力「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」を身に付けさせるために幼少期から体系的に学ばせる教育が求められています。
中学、高校では対象とする期間が重なるため、混同しないようにしましょう。
キャリア教育は、社会の大きな変革によってますます必要とされています。
子供達が自分自身と向き合う機会となるだけでなく、学校側にとっても方向性の確認に役立ちます。

教科の学びだけでは得られない力を、キャリア教育によって身に付けさせることができそうですね。

「簡単にキャリア教育をしたい!」
「どんな授業実践があるの?」
キャリア教育の充実のために悩んでいる先生は、出前授業どっとこむをチェックしてみましょう。
きっと児童生徒に最適な出前授業を見つけることができるでしょう!

この記事を書いた人

出前授業どっとこむ編集部

本記事は、教育関係者向けに最新情報を発信する「出前授業どっとこむ編集部」が制作しました。教育トレンドや実践的な指導方法について、多くの先生方に役立つ情報を提供しています。

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