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「南極くらぶ」の授業で“新しい世界”に出会う

「南極くらぶ」の授業で“新しい世界”に出会う

── 出前授業「南極くらぶ」実施校インタビュー/東京都葛飾区立花の木小学校3年生担任 土屋先生・山下先生・田中先生

学校紹介

葛飾区立花の木小学校

花の木小学校は、昭和34 年に開校した葛飾区立の小学校です。 名前の通り緑豊かな環境に包まれており、歴代の先生方が植え継いできた四季折々の木々が、子どもたちを温かく見守っています。
また、2014 年には現在の上皇・上皇后両陛下が防災の授業を見学されるなど、歴史に名を残す学校でもあります。
学校経営方針の基本には「児童ファースト」の理念があり、「やさしく・かしこく・たくましく」子どもを育てる教育を大切にしています。子どもたちが互いを認め合い、誰一人取り残さない、安心して通える環境づくりを徹底し、「笑顔と挨拶、学びがあふれる学校」を学校教育目標に掲げています。

花の木小学校で、子どもたちが目を輝かせたのは“南極の授業” でした。南極での越冬経験をもとに行われる出前授業「南極くらぶ」を通して、どんな学びが生まれたのでしょうか。出前授業どっとこむ編集部員の片山が調査に行ってきました!

学校全体で「児童ファースト」の教育を推進

花の木小学校では、2024年度から新校長のもと「児童ファースト」を教育方針に掲げている。学力向上はもちろん、「子どもたちにとって学校が心の居場所になること」を重視しているという。
学年主任の土屋先生は語る。

「私たちは子どもたちの“今”を大切にしています。学校が安心できる場所であってこそ、学びが広がります。」

担任の山下先生と田中先生も、「花の木小はとにかく元気いっぱい!」と口を揃える。地域にも開かれた校風で、地域住民が授業を見学できる「教育の日」があり、地域ぐるみの教育活動が盛んだという。

葛飾区立花の木小学校_授業潜入レポートの様子1
葛飾区で掲げられている「かつしかっ子」宣言(写真左)、上皇・上皇后両陛下のご訪問の様子(写真右)

そして、花の木小学校の一番の特色は、PTA経験者や小学校教諭、思春期保険相談士のメンバーによって構成されたボランティア団体「花の木アカデミー」の存在である。主に「特別授業」の企画を行い、「主役は児童」の理念に沿って活動している。現在は、花の木小学校に限らず、近隣の学校でも活躍の場を広げている。
代表の風巻さんは、普段は会社員として働いているが、多忙な中、業務と調整して今回の授業に参加されていた。見学に訪れた私をはじめ、参観に来た保護者、子どもたちの生活環境を支える用務員さんなど、子どもたちに関わる全ての方との触れ合いに穏やかな気配りが伝わってきて、主役の子どもたちが安心して過ごせるあたたかい場づくりをされていた。

企業と連携した授業も、自然な選択肢に

外部との協働にも積極的な同校では、日本郵政の「手紙教室」など企業の出前授業をこれまでも取り入れてきた。土屋先生は言う。
 「外部の力を借りられるのは本当にありがたいです。学校だけでは伝えきれない“世界の広さ”を届けてもらえる。」
今回実施した「南極くらぶ」(株式会社NEC ネッツエスアイ)は、南極での越冬隊員経験者による特別授業を行っている。 砕氷艦「しらせ」の映像やオーロラ・動物などの紹介、防寒服の試着体験もあり、子どもたちは大興奮だった。

葛飾区立花の木小学校_授業潜入レポートの様子2
代表児童による防寒着体験。大きくて着るのが大変そうでした。

3 年生の“世界を広げる時期”にこそ、この授業を

土屋先生がこの時期に授業を取り入れた理由には、子どもの成長段階への思いがあった。

「3 年生は世界が広がり始める時期です。社会科の授業でも、地域の学習をしていて、だんだん社会全体に興味を持ち始める頃。だからこそ、“新しい世界”を見せてあげたいと思いました。」

授業中、子どもたちは終始目を輝かせて話を聞いていた。

山下先生:「給食中も“楽しかった!”とずっと話題になっていました。」
土屋先生:「“僕も南極に行きたい!”と言う子もいて、“じゃあNECネッツエスアイさんに就職したら?”なんて話しました(笑)。」

葛飾区立花の木小学校_授業潜入レポートの様子3
「質問がある人!」の掛け声と同時にぐんと伸びる子どもたちの手

学びの広がりと“社会との接点”

今回の出前授業は、学習内容にもつながった。

土屋先生:「ちょうど地域学習の単元で、そこから大阪・関西万博に参加する国を調べているんです。南極のお話が“学びを広げるきっかけ”になりました。」

同校では、今後もこうした出前授業を積極的に取り入れていく考えだ。

「学校の中だけでは教えられないことがたくさんあります。現代社会では核家族化や片親家庭の増加など、“大人から学ぶ機会”が減っているからこそ、外の世界を知るきっかけを子どもたちに届けたい。」

“苦労より楽しさが勝つ”から続けられる

出前授業の実施には準備も必要だが、先生方は前向きだ。

土屋先生:「普段から保護者や見学先とのやりとりをしているので、特別大変ということはありません。それよりも、自分がやりたいという気持ちが大きいです。」

先生からのメッセージ

「この感動は、実際に体験してみないと分かりません。迷っている先生がいたら、ぜひ出前授業を取り入れてみてください!」(土屋先生)

葛飾区立花の木小学校_先生にインタビューしている様子
左から、山下先生、田中先生、土屋先生

ー 先生プロフィール

土屋先生

東京都葛飾区 花の木小学校 3年1組担任・学年主任。民間企業勤務を経て教員に転身。教員歴約10年。「人との関わりを通して善悪を判断できる力を育てたい」を教育理念に掲げる。

山下先生

3年2組担任。教員1年目。「生涯を通して人とつながる力を育てたい」をモットーに、子ども同士の関わりを重視した授業を行う。

田中先生

3年3組担任。教員2年目。「先生と一緒に考えて学ぶ」姿勢を大切に、失敗を恐れず挑戦できる子どもを育てている。

編集部員の感想

「なんて元気な子どもたちなんだ!」
…と花の木小学校の子どもたちの持つ爆発的なエネルギーには圧倒され、眩いほどでした。廊下ですれ違うと元気に挨拶をしてくれて、授業が開催される体育館で待機していると、どんどん児童の笑い声が近づいてきます。一番驚いたのは、先述の通り、質問タイムでの子どもたちの積極さ。「どんな星座が見えますか?」「オーロラは1日1回見えますか?」など、子どもの内から溢れ出る純粋な疑問はどれも素晴らしいものばかりでした。質問することにためらうようになったのはいつからだろう……と、自分のこれまでの消極的な姿勢がつい恥ずかしくなってしまいました。
また、子どもたちを取り囲む大人の方々の温かさも感じました。訪問中、先生方や「花の木アカデミー」の方々が丁寧に子どもたちと向き合われていることを、随所で実感しました。例えば、廊下で副校長先生とすれ違った際には、子どもにずっと付き添っていらっしゃる姿も印象的でした。(私が子どものころ、副校長先生といえば遠い存在のように感じていたものですが……。)
さらに、訪問した際には写真のようなお出迎えの掲示までご用意いただいていました。こうした細やかな心配りに触れ、日々、周囲の大人たちの温かさを受け取りながら、元気にのびのびと育っていく子どもたちの姿が目に浮かびました。

葛飾区立花の木小学校_授業潜入レポートの様子4

この記事を書いた人

片山なつみ

東京学芸大学大学院教育学研究科1年。
企業と学校、地域と子ども。離れて見える点と点を “結ぶこと” に情熱を注ぐ大学院生記者。
「出前授業どっとこむ」での取材では、現場の温度や声を拾いながら、教育の新しい可能性を追いかけている。
趣味はバイオリン演奏で、休日は所属するオーケストラ団体で音楽に没頭。
取材でも演奏でも周囲との” 調和” に気をつけている。

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