
教育DXとは、デジタル技術の活用によって教育の質を向上させる取り組みです。
教育DXは、児童・生徒の世代に合わせた教育を実現できる点やリモート環境による教育の必要性が高まっている点から重視されています。
今回は、教育DXで得られるメリットや解決すべき課題、活用事例をご紹介します。
教育DXの活用方法を理解したい教育関係者は、本記事を参考にしてください。
教育DXとは?
教育DXとは、最新のデジタル技術を活用して教育の質を高めていく取り組みです。
オンライン授業やAIによる個別指導などが含まれており、児童・生徒のニーズに応じた学習環境を用意しています。
小中学校の教育DXは、児童・生徒がパソコンもしくはタブレットを活用して授業を受けています。
例えば、英語の授業ではオンラインで海外の学生と交流、理科の授業ではデータ分析ソフトを活用してデータの可視化が可能です。
高校の教育DXでは、歴史の授業でデジタル資料を参考にして討論する授業や、シミュレーションで実験結果を予測する授業など、生徒が主体的に取り組める授業を用意しています。
さらに、大学受験では情報活用能力を試す入試問題が取り入れられる予定があるため、小中学校よりも教育DXの推進が求められています。
教育DXが重視される理由
教育DXは、以下の3つの理由で重視されています。
- デジタル社会になった「現代」に適用できる人材を育てる
- リモート環境による教育の必要性が高まっている
- 教員の業務効率が向上する
それぞれの見出しを参考にし、教育DXが重視される理由を理解しましょう。
デジタル社会になった「現代」に適用できる人材を育てる
教育DXは、生徒の世代に合わせた教育を実現するために重要です。
一昔前では紙の教科書が一般的でしたが、現在ではデジタル社会という時代の流れになっています。
1990年代から後に産まれた子どもたちは幼い頃からインターネットがある環境で育っているため、教育DXに適応しやすいです。
今後デジタル技術の活用場面の増加が予測されており、学生時代にデジタル技術の扱いを学んでおく必要があります。
リモート環境による教育の必要性が高まっている
教育DXが重視される理由として、リモート環境による教育の必要性が高まっていることがあげられます。
例えば、新型コロナウイルスと同様なウイルスの感染が拡大した場合、リモート環境で授業しなければなりません。
また障がいを抱えている生徒の場合は、対面で授業を受けることが困難な場合もあります。
リモート環境でも授業を受けられる体制を構築すれば、身体的制約に左右されずに勉強できます。
リモート環境で授業を受けるプラットフォームを整備するためにも、教育DXは重要です。
教員の業務効率が向上する
教育DXをすると、教員の業務が向上します。従来では家庭への連絡や成績の管理を手作業でしていましたが、デジタル化すると時間と労力の削減につながります。
例えば、クラウドシステムを活用すれば、資料の共有や更新が簡単にできるでしょう。
業務効率が向上することで、教員は生徒指導や授業準備などにより力を注げます。
教育DXで得られるメリット
教育DXを導入すると、2つのメリットが得られます。
- 児童や生徒に合わせた指導ができる
- 業務効率を改善できる
それぞれのメリットを参考にし、理解を深めましょう。
児童や生徒に合わせた指導ができる
教育DXを導入すれば、児童や生徒に合わせた指導ができます。
教育DXの学習システムはAIを活用しており、生徒の学習履歴や理解度を分析しつつ適切な課題を用意しています。
そのため、得意分野をさらに伸ばして苦手分野の補強が可能です。
もし、従来の方法で児童や生徒に合わせた指導をすると、膨大な手間と時間がかかります。
しかし、教育DXでは短時間でそれぞれの児童・生徒に合わせた指導ができるため、児童・生徒の学力を伸ばしやすいです。
また学習の進捗状況や履歴を確認できれば児童・生徒が学習目標を明確に設定でき、勉強に対するモチベーションを高められます。
業務効率を改善できる
教育DXを導入すれば、教員の業務効率の改善ができます。
オンライン上で授業の連絡をすれば、情報伝達ミスを防止できてさらにスムーズなコミュニケーションが可能です。
ほかにもオンライン上で課題提出システムを用意すれば、採点やフィードバック作業をデジタル化できるため、効率的に対応できます。
また業務効率が改善できるのは、教員だけではありません。
児童・生徒は、教育DXの導入によって提出物が管理しやすくなるため、学習効率が高まります。
教育DXによる課題
教育DXを導入する際に把握しておくべき課題が2つあります。
- ICT環境を整備するためにかかる費用負担
- インターネット上のトラブル
教育DXによる課題を把握しておけば、事前に対策を考えられます。
それぞれの課題を参考にし、児童・生徒が授業を学びやすい環境を整えましょう。
ICT環境を整備するためにかかる費用負担
教育DXの課題には、ICT環境を整備するためにかかる費用負担があります。
電子機器を活用して授業を進める場合は一人ひとりが端末を購入する必要があり、毎年の機器更新や破損したときの保証などもかかります。
少しでも負担する費用を抑えたい場合は、予算計画を立てて負担を少なくするための工夫が必要です。
もし、電子機器が壊れたらさらに負担する費用が必要となるため注意しなければなりません。
インターネット上でのトラブル
教育DXを導入すれば、インターネット上のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
学校には、児童・生徒の学習記録や成績関係資料など守らなければならない情報が多々あるため、セキュリティ対策は重要です。
もし、セキュリティ対策不足によって個人情報が漏えいしたら保護者からの信頼を失います。
そのため、個々の端末へセキュリティ対策ソフトのインストール、教員と生徒が使用するネットワークの分離、多要素認証の導入が必要です。
教育DXの活用事例
教育DXの活用事例として、3つご紹介します。
- 職員室のクラウド化
- 複線型授業の実現
- 多くの意見の創出
教育DXの活用事例を把握しておけば、授業の構成を参考にできます。
それぞれの活用事例を参考にしたうえで、どのような授業をすれば生徒が理解しやすくなるかを考えましょう。
職員室のクラウド化
練馬区立関町北小学校では、校務のDXに標準仕様のクラウドソフトウェアを積極的に活用しています。
例えば学級だよりをプレゼンテーション、連絡帳を表計算ソフトで作成してクラウド上で配信しています。
クラウド上の配信によって多くの写真や動画の掲載ができるため、具体的な活動内容を保護者が把握しやすいです。
また個人面談の日程調整をクラウド化したため、保護者は自宅で予定の入力ができます。
職員室のクラウド化によって、教員の業務効率化が実現しています。
参照:文部科学省|「学校全体で校務のDXに取り組む」練馬区立関町北小学校 ~『職員室をクラウド化します』~
複線型授業の実現
久喜市立鷲宮中学校では、日常的にオンライン配信を実施しているため、教室で授業を受けられない生徒も勉強できる環境を整えています。
資料や課題もクラウド上で管理しており、いつでもどこでも授業に取り組むことが可能です。
また、生徒一人ひとりが主体となる学びを実現するために学習の理解が不十分な生徒に対しては、チャット機能の活用によって意見を共有することで、より理解を深められます。
参照:文部科学省|GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した 「複線型の学び」のすすめ ~「個別最適な学び」の実現に向けて~
多くの意見の創出
佐賀県立致遠館高校では、ホワイトボードソフトを活用して意見の共有やアイデアの創出、思考の整理などをしています。
手書きと比較して操作の手間が少ないため、効率的に多くの意見の創出が可能です。
また口頭での発言が難しい児童・生徒だったとしても、クラウド上では意見を入力しやすいです。
ほかにもホワイトボードソフトを活用し、他者の資料と資料の作成過程を気にしつつ考え方の視点を広げられます。
参照:文部科学省|佐賀県立致遠館高等学校 GIGAスクール環境と1人1台端末を活用した 学校全体での取組と端末活用の日常化
出前授業で教育DXに力を入れよう
教育DXを導入すると、児童や生徒に合わせた指導の実現や教員の業務効率化につながります。
ただ、教育DXにはICT環境を整備するためにかかる費用負担やインターネット上のトラブルによる課題があります。
本記事でご紹介した活用事例を参考にし、教育DXの授業の進め方を考えましょう。
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