
GIGAスクール構想とは、2019年に文部科学省が開始した新しい学びの形を実現するための構想です。
GIGAスクール構想を実現できれば、児童や生徒に合わせた学習環境の用意や教職員の業務効率化などが期待できます。
しかし、実現のために何をすればよいかを把握していないと、どのようにGIGAスクール構想を取り入れればよいかわかりません。
今回は、GIGAスクール構想のメリットや課題、実現に必要なことを解説します。
GIGAスクール構想の実現に向けてどのような対策をすべきか知りたい教育関係者は、本記事を参考にしてください。
GIGAスクール構想とは?
GIGAスクール構想とは、教育ICT環境の充実を図って教員や児童・生徒の力を最大限に引き出すことを目指す取り組みです。
一人ひとりの児童・生徒にパソコンを付与することで、能力に合わせた学習ができる環境が実現し、自分の得意分野を伸ばしやすくなります。
また、パソコンやタブレットを活用すれば、教員と児童・生徒とのコミュニケーションが取れるため、双方向型の授業が実現できます。
一方的な授業では、一部の積極的な児童・生徒の声しか授業に反映できません。
GIGAスクール構想を実現できれば、例えばチャット上で教員に授業に対する意見ができるため、表立って発言するのが苦手な児童・生徒も授業に参加しやすくなります。
GIGAスクール構想のメリット
GIGAスクール構想には、3つのメリットがあります。
- 児童や生徒に合わせた学習環境の用意
- アクティブラーニングによる能動的な学びが実現
- 教職員の業務効率化
GIGAスクール構想のメリットを把握すれば、実現に向けたフォローがしやすくなります。
それぞれのメリットを参考にし、GIGAスクール構想の実現に向けた対策をしてください。
児童や生徒に合わせた学習環境の用意
GIGAスクール構想では、児童・生徒に合わせた学習環境の用意ができます。
端末ごとに異なるコンテンツや教材を配布できるため、児童・生徒同士に理解の差があったとしても、レベルに合わせた授業が可能です。
生徒の理解度に合わせて一人ひとりに合ったフォローをすれば、授業の難易度が合わないと不満を感じずに済むでしょう。
GIGAスクール構想の実現によって、学びやすい環境を用意してください。
アクティブラーニングによる能動的な学びが実現
GIGAスクール構想は、アクティブラーニングによる能動的な学びが実現可能です。
アクティブラーニングとは、児童・生徒が自主的に参加する授業です。
従来の授業では挙手によって発言する必要があり、大勢の前で発言することが苦手な児童・生徒にとっては、本音で回答しにくい場合がありました。
しかし、チャットで意見を伝えられるようにすれば、大勢の前で発言することが苦手な場合でも気にせず本音で意見を伝えられます。
アクティブラーニングは、グループディスカッションやグループワークなどで有効な学習方法です。
教職員の業務効率化
GIGAスクール構想を実現すれば、教職員の業務効率化にもつながります。
従来では、USBメモリのデータをほかの教員へ手渡しで共有した後、パソコンに取り込んで情報共有する必要がありました。
そのため授業をするために、非常に時間がかかっていました。
しかし、GIGAスクール構想によって児童・生徒のデータをクラウド上で共有できるため、スムーズに情報共有できます。
教職員の業務は、課題の準備や保護者へのお知らせの作成などさまざまです。
教職員の業務効率化によって働きやすい環境を構築し、質の高い授業や指導などができるように工夫することが可能です。
GIGAスクール構想の課題
GIGAスクール構想には、4つの課題があります。
- 教育者間でのITリテラシーの差
- 各種トラブルへのサポート体制
- 学校外での端末利用
- Wi-Fi環境
GIGAスクール構想の課題を把握すれば、何に気を付けて導入すべきかが理解できます。
それぞれの課題を参考にしてください。
教育者間でのITリテラシーの差
GIGAスクール構想の課題として、教育者間でのITリテラシーの差があげられます。
教員のITに関する知識が不足していると、児童・生徒から質問されたとしても答えられません。
またGIGAスクール構想を実現しても、IT知識の不足によって教員の労働時間が増加したら、さらに過労によって疲弊する恐れがあります。
そのため、GIGAスクール構想を実現する場合は、教員向けのIT研修を充実させましょう。
外部講師を招いたIT研修やサポート体制の構築を進めて、最新のITスキルを習得するための準備をしてください。
各種トラブルへのサポート体制
GIGAスクール構想の課題には、各種トラブルへのサポート体制があります。
例えば、特定のサイトやアプリにアクセスできない場合やインターネットに接続できない場合などさまざまなトラブルに遭遇する可能性があります。
文部科学省の資料では、各種トラブルへの解決方法の例が記載されています。
この資料を参考にしてマニュアルを作成し、すぐにトラブルへ対応できる環境を用意してください。
参照:文部科学省:GIGAスクール構想に関する各種調査の結果(P.17)
学校外での端末利用
GIGAスクール構想を実現するためには、宿題や自習など学校外での端末利用に対して適切なルールを設けなければなりません。
学校外で利用すると、デバイスの故障や学習外のコンテンツにアクセスするセキュリティなど、さまざまな問題が発生する可能性があります。
事前に学校外での端末利用に対して明確なルールを定めておき、トラブルが発生しないように工夫しましょう。
Wi-Fi環境
GIGAスクール構想を実現するためには、Wi-Fi環境を整備する必要があります。
学校によっては通信速度が遅く、適切なW–Fi環境が整っていない場合があるためです。
そのため、校内のWii-Fi環境を見直し、全ての教室で安定したインターネット環境を構築する必要があります。
GIGAスクール構想の実現に必要なこと
GIGAスクール構想を実現するためには、以下の3つの用意が必要です。
- 一人一端末の整備
- さまざまなソフトウェアの活用
- 高速大容量の通信ネットワークの整備
GIGAスクール構想に何が必要かを理解すれば、実現するための準備がしやすくなります。
それぞれの必要なことを参考にし、実現するための準備をしてください。
一人一端末の整備
GIGAスクール構想を実現するためには、一人一台の端末の整備が必要です。
義務教育である小中学校は教育委員会から支給されますが、高校では学校が用意しなければなりません。
そのため、端末の料金は保護者に支払ってもらえるかを事前にアンケート調査で確認してください。
事前のアンケート調査がないと、保護者からの批判が相次ぐ恐れがあります。
さまざまなソフトウェアの活用
GIGAスクールの構想を実現するためには、さまざまなソフトウェアの活用が必要です。
例えば、クラウド型の学習ツールを活用すれば生徒の学習状況に関するデータを一元管理できてデータを消失するリスクの防止ができます。
また、統合型公務支援システムを活用すれば教務や学校事務の一括管理ができ、業務効率化が実現します。
高速大容量の通信ネットワークの整備
GIGAスクール構想の実現には、高速大容量の通信ネットワークの整備が必要です。
多くの生徒が同時にインターネットを活用するため、高速大容量のネットワークでないとスムーズに授業を進められません。
事前に接続テストをし、校則に通信ネットワークが整備されているかを確認したうえで、GIGAスクール構想を実現しましょう。
出前授業を活用してGIGAスクール構想による学習環境を用意しよう
GIGAスクール構想を実現すれば、児童・生徒に合わせた学習環境の用意や能動的な学びの実現、教職員の業務効率化のメリットがあります。
その一方でGIGAスクール構想には、教育者間でのITリテラシーの差やトラブルへのサポート体制の構築、学校外での端末利用に関してさまざまな課題があることも事実です。
本記事でご紹介した課題の解決方法を参考にし、GIGAスクール構想を実現するための対策をしてください。
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