出前授業どっとこむ出前授業どっとこむ

SDGs 

【NECネッツエスアイ株式会社】“知らない世界”が学びの扉をひらく

子どもたちに将来の夢や希望を広げてほしい――。

南極越冬隊のリアルな体験をもとにした出前授業「南極くらぶ ~南極をもっと知ろう~」は、本物の言葉と映像で未知の世界への興味を引き出し、自分の未来を考えるきっかけを作ります。

そんな想いのもと、出前授業を届けているのがNECネッツエスアイ株式会社の鈴木さんです。今回は、この出前授業に込める想いや取り組みついてお話をうかがいました。

想いを語ってくれた人

NECネッツエスアイ株式会社
総務部

鈴木 正人(すずき まさと) さん

社会貢献、地域貢献、次世代育成、障がい者支援、被災地支援といった幅広い分野の取り組みに従事。
また、各種人脈やコミュニケーション力を活かし、NECネッツエスアイとしての社会貢献活動の促進や、企業ブランド向上のための施策を展開。企業活動との連携を意識しながら、継続的な価値提供に取り組んでいます。
「南極くらぶ」では、事務局を運営し、講師と学校の橋渡し役として、よりよい授業づくりを支えています。

未来を見つめる子どもたちへ、南極から「本物の声」を届ける出前授業

ー はじめに、御社の事業内容についてご紹介いただけますか?

私たちは「海底から宇宙まで」の領域で、人と人とのコミュニケーションを支える仕事に日々取り組んでいます。

海底ケーブルの整備や携帯電話の基地局の設置、防災無線、鉄道無線といった通信インフラの構築・運用を幅広く手がけています。また、小惑星探査機「はやぶさ」のミッションでは、通信インフラの面から運用を支援した実績もあります。

ー どのような出前授業を提供されていますか。

次世代教育プログラム 『南極くらぶ』 ~南極をもっと知ろう~

南極越冬隊員の実体験を聞ける、体験型授業です。

ー 具体的な内容や特長などについて、もう少し詳しく教えていただけますか?

講師を務めるのは、南極地域の観測を行う南極観測隊の中でも、1年4ヵ月もの間を南極で過ごした「南極越冬隊員」として任務を果たした当社社員です。

授業では、南極に関する基礎知識をはじめ、オーロラ・気候・動物などの自然科学や、氷を砕いて進む「砕氷艦しらせ」の勇姿を、迫力ある映像コンテンツで紹介します。

さらに、講師が自らの体験をもとに、南極での仕事やリアルな生活について語り、「南極越冬隊員になるためにどのような努力をしたか」を伝えることで、子どもたちが将来の夢や希望を持つきっかけを作る次世代育成を目的としています。

防寒服の展示と試着、クイズも取り入れ、南極について楽しく学べる構成になっています。

ー 御社が出前授業を始めたきっかけや背景を、ぜひお聞かせください。

2012年に文京区に本社を移転した事をきっかけに文京区連携を模索し、教育委員会へアプローチを行い、当社の通信領域事業を活かした社会貢献プログラムの創出を行い、本プログラムが産声を挙げました。

同年に文京区内で1校目を実施し、現在まで250校、25,000名強が参加されています。
※2025年1月末時点の実績(首都圏を中心に学校、地域イベント開催実績累計)

私は、2012年から何か次世代育成でプログラムを開発出来ないかを考えた張本人であります。
本業での社会貢献活動を開発する事になったので、社内調整から文京区の学校長会でのプレゼンを経て、実施に向けた一歩を踏み出しました。

理科離れが叫ばれている状況下、そして、前年(2011年)に東日本大震災が起こったことを受け、子どもたちを笑顔にするきっかけにもなると考えました。また、当社の任務で越冬する社員にもスポットライトが当たるようにもしました。

子どもたちが授業とは違う、実際に南極に足を運んだ、「本物の声」を聴き、映像・写真を見て、目を輝かせる…その様子を間近で見られる喜びもあり、本格的にスタートを切りました。

南極での実体験を活かした次世代育成

ー よりよい授業を届けるために大切にしていることや工夫があれば教えてください。

開催に向けて、事前打ち合わせを必ず実施します。実際の会場の下見も含めて、学校側の意向を確認するためです。授業の進め方、是非伝えて欲しい事など、担当教諭とディスカッションする時間を貰っています。

その内容を講師に伝え、コンテンツを開催学校ごとに加えたり修正したりするように勤めています。これも、講師がやり易くする為のものです。そうすることで講師の一方的な講義と言うより、双方向のディスカッションが出来るように心がけています。南極クイズなどを数回入れて、飽きないように進めるように講師役とディスカッションしています。

また、実際に南極で任務し、生活し、隊員たちとの協力や、日々の改善活動を通じた体験を、子供たちへ次世代育成枠の社会貢献活動として教育現場にフィードバックもしています。

南極という未知の世界で、自ら「何をしなければならないか」を考えなくてはならない事や、南極越冬隊としての使命も伝え、自然環境への理解や将来の職について考える機会にもなるよう努めています。

実際に現場に足を運んで、実際にいろんな事を見て、現実を感じた講師の体験を、講師自身の「本物の声」として、真実を話して貰うようにしています。そうする事で3現則(現地・現物・現実)を学ぶことが出来る。

また、キャリア教育の観点でも隊員同士での協力が必須であり、「思いやりの精神」も習う事が出来ると考えています。

子どもたちは南極の過酷な自然現象や動物の映像を見て喜び、各種の仕事についても学べます。

質問コーナーでは、高学年になるにつれて、「どうして越冬隊を希望したのか」等の、質問も出てきて、何かを考えるきっかけとなっていると確信しています。

ー 出前授業に携わることのやりがいや魅力は何ですか?

次世代育成枠として、キャリア教育の一環で授業を行っています。越冬隊自身が体験したことを語ることで、子どもたちが知らなかった世界の話を聞き、目を輝かせたり、笑顔になったりする様子を直に見られることは、事務局としても非常に嬉しい瞬間です。

たくさんの質問に答える講師役の越冬隊経験者(社員)の体験が次世代育成に役立っていることを実感しています。少人数のチームで1年間を過ごす越冬隊の体験談を通じて、子どもたちが将来の職業を考えたり、自分の目標を見つめ直すきっかけになっているようです。

また、越冬生活では「思いやりの精神」も必要になることも伝えていますが、子どもたちが共感し、心に残るメッセージとなっていると感じています。

ー 印象に残っている授業やエピソードがあれば、ぜひお聞かせください。

ある小学校では、2年生を対象に毎年、出前授業を開催していただきました。

5年間、同じ講師と取り組みました。

出前授業当日には、学年が上がった児童が講師を見つけると周りを囲み込み、楽しそうに話し、授業の直前まで離してもらえないほどでした。児童の心の中に、その講師との思い出がどれほど素晴らしいものだったかを確信する場面でした。

また、中学生・高校生現場では、将来の夢についてグループディスカッションを実施する、キャリア教育の観点で授業を行ったケースもあります。

地方開催の際に、たまたま越冬隊員経験者の年代の違う社員3名(25年前・15年前・5年前の隊員)が、業務で同じエリアにいたために、その時代時代の話を掛け合い形式で実施することができました。この授業は、生徒にとって非常に響いたものとなりました。

ー 鈴木さんにとって、出前授業はどのような存在ですか?

このプログラム『南極くらぶ』を開発したきっかけは、次世代育成として、子どもたちに色々な事に興味を持って貰いたいという思いからでした。南極について、「本物の声」として伝える事で、講師役の越冬隊経験者社員も回を重ねることで改善ができ、自身の事業に通じるスキルが身に付くと思います。

子どもたち、社員、双方向に役にたつプログラムに育ったことが、一番やりがいを感じます。

私個人としては、黒子に徹して講師がやりやすいようにと心がけています。主役は子どもたちなので、笑顔になってもらえればと、常に思いながら取り組んでいます。

越冬隊の挑戦を通して育む諦めない心

ー 今後、出前授業をどのように続けていきたいとお考えですか?

首都圏を中心に展開して来ましたが、次世代育成枠として多くの児童・生徒を笑顔にし、将来のキャリア(職)を考える一助となるようなプログラムに発展させること、そして、講師が出来る者(南極越冬隊員経験者)が限られるため、地域・頻度を調整し、全国展開に持って行きたいと考えています。

ー 子どもたちに届けたいメッセージをお願いします。

なかなか知る事が出来ない『南極』での、仕事の様子・生活・自然・動物の事など色々な新たな気づきが出来ると思います。そして、将来の職の一つに、夢として越冬隊を考えて貰えれば嬉しく思います。

仕事もチームですので、目標に向かって皆んなで力を合わせて、取り組む事の大切さを感じて貰いたいです。

目標に向かって、何をするかを、ぜひ考えて貰えればと思います。

やり抜くために何をするか?決して諦めないで、チャレンジして欲しいです。

ー 日々教育現場でご活躍されている先生方へ、何かひとこといただけたらと思います。

実際に南極に行き、さまざまな経験を積んだ当社社員が、『次世代育成』プログラムの【南極くらぶ】の講師を務めいています。

日本を離れ、1年4ヶ月ものあいだ過酷な環境下で過ごしたことで、自身の目で見たことや、少人数で閉ざされた世界の中で業務を遂行し、余暇を過ごし、皆と協力する中で学んだことを、「本物の声」として子どもたちに届けています。

そうした話を通じて、児童・生徒が、仕事に対する取り組み方や、仲間との接し方などを自分ごととして学べると考えています。

また、特に強調しているのは、「保護者の皆さんもぜひ聞いていただきたい」という点です。

これは、事前打ち合わせの時にも先生方に伝えています。大人が非常に食いつきますので。

ご家庭でも話題としてディスカッションが出来ると信じていますので、是非、保護者の方々にも紹介ください。

ー 最後に一言お願いします。

子供たちには、『諦める理由を探すな!』と常に伝えています。

1歩踏み出す勇気を持つこと、日々の繰り返しの体験で階段を1段ずつ登れ、それが自信に繋がる事を覚えて欲しいです。

その為にも、越冬隊員が経験した事を少しでも自分事にして貰いたいと考えています。多くの職業がある事も頭に入れておけば、将来の職としての選択筋にもなると思っています。

まとめ

この授業は、ただ知識を伝えるだけでなく、子どもたちの心に残る“リアルな体験”を届ける出前授業です。

未知の南極という世界を身近に感じさせながら、将来の夢や職業への興味を広げるきっかけを届けています。少人数で過酷な環境を乗り越えた隊員たちの絆や努力、思いやりの大切さが、子どもたちの胸にまっすぐ届く授業です。

鈴木さんありがとうございました!NECネッツエスアイ株式会社の出前授業の詳細はこちらからご覧ください。

この記事を書いた人

出前授業どっとこむ編集部

本記事は、教育関係者向けに最新情報を発信する「出前授業どっとこむ編集部」が制作しました。教育トレンドや実践的な指導方法について、多くの先生方に役立つ情報を提供しています。

この記事を読んだ人におすすめ

ページトップへ